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『働かないアリに意義がある』 [読書メモ2012]

『働かないアリに意義がある』 長谷川英祐 2010/12
働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
 著者は進化生物学者。 ハチやアリなど真社会性生物の奇妙な生態を紹介する本。

 単なる群れではなく、「社会」を構成する生物を真社会性生物と呼ぶ。アリ、ハチ、シロアリの他、アブラムシ、ネズミ、エビ、カブトムシ、粘菌の仲間にも真社会性と呼べる種がいる。
 いずれにしても、繁殖する個体としない個体が協同する特徴を持つ。他個体の繁殖を補助する「利他行動」が、真社会性生物とその他を区別する。ここで、繁殖しない個体はいかにして遺伝情報を子孫に残すのかという疑問が生じる。
 アリの2割は働かない、という話は聞いたことがあるが、著者の研究によれば、ある瞬間に巣の中の7割の働きアリが働いていないのだという。1ヶ月くらい観察を続けても、2割くらいは「働いている」と見なせる行動をほとんどしないのだという。このようなアリがいる理由の1つは、はみ出し者がエサへの最短ルートを偶然に発見したり、新たな活路を見出せる点だ。
 もっと大きな理由は、全員が労働していたら突発的な仕事(敵が来たり巣が壊れたり)が発生した時に対処する者がいなくなるということだ。真社会性生物には「司令塔」となる個体はいないので、突発事態に人員配置を変えるなんてことはできない。実は個体により仕事に対する反応閾値が異なっている。閾値の低い個体から仕事を行い、新しい仕事はもう少し閾値の高い者が行う、という形に分業している。だから閾値の最も高い個体は常に遊んでいる(実はスタンバイ)ように見える。反応閾値は遺伝子で決まることが、一部の種で判明している。
 働きバチや働きアリはメスであり、”女王”と遺伝情報は同じ(ホルモンバランスが違う)である。だから繁殖しない個体の利他的に見える行動も、遺伝情報を残すという目的には合致している行動なのだ。
 さて、やっかいなことに、アリの中にはオスは父親の遺伝子からだけ、メスは母親の遺伝子だけで生まれる種がある。交尾もし、同じ母親から生まれるが遺伝情報では別種という奇妙な種だ。次世代の女王アリを産む時だけ交尾をしないでクローンを産む種や、全てクローンのメスのみの種など、不思議だらけだ。
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